遺言書は遺産を誰に残すか、自分の想いを伝える手段です。法的な効果がある一方で、正しく作成しなければ無効になってしまいます。
本記事では遺言書について説明し、3種類についても詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
📌 遺言書とは
遺言書とは、相続の際に自分の遺産を誰にどのように渡すか示した書面です。遺言書は法律の定めとは異なる配分を生前に希望できます。したがって家族のほかに、お世話になった人や施設へ寄付する方もいるのです。
遺言書は法律の形式に従って正しく作成すれば法的な効果を得ます。正しい作成方法は法務省のホームページに記載されています。
① ●遺言書の全文、遺言の作成日付及び遺言者氏名を、必ず遺言者が自書し、押印します。
●遺言の作成日付は、日付が特定できるよう正確に記載します。
例)「令和3年3月吉日」は不可(具体的な日付が特定できないため)。② 財産目録は、自書でなく、パソコンを利用したり、不動産(土地·建物)の登記事項証明書や通
帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが、その場合は、その目録の
全てのページに署名押印が必要です。③ 書き間違った場合の訂正や、内容を書き足したいときの追加は、その場所が分かるように示
した上で、訂正又は追加した旨を付記して署名し、訂正又は追加した箇所に押印します。
💡 そのほか、相続の際に遺言書がない場合では、民法の定めに従って相続人(法定相続人)に配分されます。この配分を法定相続分と言います。
📌 遺言書は3種類
遺言書は3種類あります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
ここからそれぞれ詳しく解説します。
🔹 1.自筆証書遺言
自筆証書遺言は自分(遺言者)が手書き・保管する方法です。
一般的に、ほかの公正証書遺言や秘密証書遺言に比べ、費用がほとんどかかりません。
ただし、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に書き方の指導や作成を依頼した場合では費用がかかるケースはあります。
自筆証書遺言は書き方に関して注意が必要です。
前述した通り、法的要件を満たさないと無効になる可能性があるからです。
そのほかに、自分で保管するため、紛失や改ざんされる可能性があります。
この遺言書は遺言者が死亡した後、遺言書の保管者や発見者が家庭裁判所に遺言書を提出し、検認してもらう必要があります。
💡 ちなみに、検認前に封を開封すると「5万円以下の過料」というペナルティが科されることも。さらに、場合によっては遺言書自体が無効になるため注意が必要です。
🔹 2.公正証書遺言
公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2人の立会いのもと作成する遺言書です。
公証役場で作成することにより法的要件を満たすため、無効になることがほぼありません。
内容をあらかじめ公証人に伝え、文書に起こしてもらう形で作成されます。
このため、他の遺言書と比較して費用は高くなるケースがあります。
特徴はその公正性と信頼性です。
- 公証人と証人の立会いのもとで作成されるため、内容の正確性がとても高い。
- 遺言書は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がない。
💡そのほか、公証役場で作成するため、家庭裁判所での検認が不要です。
🔹 3.秘密証書遺言
秘密証書遺言も自筆証書遺言のように、自分で手書き・保管するものです。
自筆証書遺言との違いは、公証役場で署名と押印を行う点です。
このため、自筆証書遺言よりも費用がかかります。
公正証書遺言との違いは、書いた内容を秘密にできるという点です。
公証人や証人を含め、誰にも中身を知らせずに作成できます。
一方で、公証人や証人に中身を知らせないため、作成する際は法的要件を満たす必要があります。
また、自筆証書遺言と同じように家庭裁判所の検認が必要です。
💡ちなみに、秘密証書遺言は自筆証書遺言と同じように遺言書の紛失リスクや検認の必要性があるにもかかわらず、費用がかかるというデメリットがあるため、利用者は少ないのが現状です。
✅ まとめ
本記事では遺言書について説明し、種類も解説しました。
- 自筆証書遺言は自分(遺言者)が手書き・保管する方法
- 公正証書遺言は、公証役場で公証人と証人2人の立会いのもと作成する遺言書
- 秘密証書遺言は自分で手書き・保管し、公証役場で署名と押印を行います
遺言書は自分が築いてきた財産を誰に分配するか書くものです。
そして、自分の想いを大切な遺族に伝える「最後のメッセージ」でもあります。